性感染症に感染した患者さんの中で最も多いとされる「クラミジア感染症」。
この「クラミジア感染症」が不妊の原因になることを知っていますか?
「クラミジア感染症」は感染しても無症状だったり、症状が軽かったりして、治療せずに放置されるケースがあります。
感染が長引くと感染が進行し、男女ともに不妊の原因となります。
今回はクラミジア感染症の症状や検査・治療について詳しく解説していきます。
クラミジアとは?
クラミジア感染症は「クラミジア・トラコマティス」という菌に感染することによって起こる感染症です。
男性では尿道に感染し、排尿時の軽い痛みや尿道のむず痒さを感じることがありますが、非常に軽い症状しか現れません。
女性では子宮頚管部(子宮の入り口)に感染し、おりものの増加、下腹部の痛み、性交痛などの症状が現れますが、生理周期によるものと勘違いしやすいです。
さらに男女とも患者さんの半数は症状が現れないといわれています。
このように、症状が些細だったり無かったりすることで感染に気付かないケースが多く、その結果治療されぬまま放置されてしまいます。
治療されぬまま放置されることで、知らず知らずにパートナーを感染させてしまうのです。
クラミジア感染症が不妊症の原因になるってホント?
治療せずに放置すると男女ともに体の中で感染が進行します。
男性では、感染が長くなると尿道の中をクラミジアが奥へ奥へと進んでいきます。
尿道の奥には副睾丸(精巣上体)があり、そこにたどり着くと副睾丸炎(精巣上体炎)を引き起こします。
副睾丸(精巣上体)は精巣で作られた精子が、最終的な成熟をして射精を待つ場所です。
ここで炎症が起こると精管(精子の通り道)が塞がってしまい、男性不妊となることがあります。
女性でも感染が長引くとクラミジアが子宮の奥へ奥へと進行します。
初めは子宮頚管部にとどまっていたクラミジアは時間の経過とともに子宮、卵管、腹腔内へと進み、その結果、子宮内膜炎、卵管炎、腹膜炎を引き起こします。
卵管炎を引き起こすと、卵管が癒着して狭くなることや、完全に塞がってしまうことがあります。
すると排卵しても卵子が子宮に向かうことが出来なかったり、精子が卵管を通過して受精卵にたどり着けなくなったりするので、不妊の原因となります。
また、癒着によって子宮外妊娠になりやすくなります。
そしてこの病気の厄介なところは、感染の結果生じた精管と卵管の癒着や閉塞は、手術をしなければ治療できないというところです。
クラミジア感染は症状がなくても検査を受け、感染を早期発見し、不妊の原因を引き起こさないことが非常に重要です。
クラミジア感染症はどうやって検査するの?
クラミジアに感染しているかを確認するには、検査を受けることが必要になります。
検査方法は、以下の2種類あります。
①採血により血液中のクラミジア抗体を調べる抗体検査
②クラミジアのそのものを調べる抗原検査
①の抗体検査は、一度でもクラミジアに感染していれば陽性になります。
現在感染しているかはわかりませんが、「クラミジア感染したことがある」ということは事実なので、精管と卵管の癒着や通過障害の可能性があります。
②の抗原検査は、現在感染しているかどうかが分かります。
男性は泌尿器科で採尿による検査を行い、女性は婦人科にておりものか子宮頚管部を綿棒で拭ったもので検査を行って、菌自体がいるかどうかを調べます。
しかし、この検査ではクラミジアが奥に進んでいってしまった場合には陰性となることがあります。
ですから、①と②の検査の結果を組み合わせて感染の状況を見極めます。
最近では、自宅でできる検査キットもあります。
病院に行くのが不安、知り合いに会いたくない…という方は、匿名で検査できますので利用してみてはいかがでしょうか。
クラミジア感染症の治療法は?
クラミジア感染症の治療には抗生物質を用います。
抗生物質は注射か飲み薬での投与になりますが、治療法は患者さん一人ひとりで異なりますので、医師の指示通り治療を受けましょう。
先程も述べましたが、感染の結果生じた卵管の癒着や閉塞については、手術をしなければ治療できません。
また、クラミジアに感染していると分かった場合は必ずパートナーと一緒に治療を受けなければなりません。
1人で治療を受けても、パートナーが感染していれば、再感染を引き起こす危険性があるからです。
まとめ
①クラミジア感染症の症状は非常に軽かったり、無症状だったりする
②クラミジア感染症によって臓器に癒着や閉塞が起こると、不妊の原因になる
③検査は抗体検査と抗原検査があり、その結果の組み合わせで感染の状況を判定する
④クラミジア感染症の治療には抗生物質を用いるが、癒着や閉塞の治療は手術が必要
妊活は子供を作るだけでなく、「妊娠できるように体と心を整える活動」だと私は思います。
あなたのお腹に赤ちゃんを迎えるためにも、感染の不安があればまずは検査を受けてみましょうね。
のびのびのんちゃん
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